|

吉山:小島先生、こんにちは。
小島さんとは立教大学の講座で私どもがお手伝いさせて頂いているというのもあり、まさに、我々の講座進行のダンドリについてチェック頂いているわけですが(笑)、今回は、「夢の実現へのダンドリ」ということで、小島さんが専門的にアドバイスや教育実践されてきたご経験なども踏まえ、特に大学生や若手社会人に対してキャリアプランの考え方はもちろん、これから社会人として求められる力・心構えといった部分についてもアドバイスいただければと思います。
小島:任せてください!毎日色んな方々にアドバイスしていますから(笑)
吉山:大変心強いです。では早速お聞きしたいのですが、やはりキャリアデザインというシーンにおいても、「何を・いつまでに・どうする」、すなわちPWAでいうプロジェクト3要素の「期間・資源・目標範囲」を考えることが重要になってくるとは思うのですが、まずは「キャリアデザインの目標設定」という部分について、小島さんが日頃考えていらっしゃることをお聞かせいただけますでしょうか?
小島:私がいつも考えていることは、まずはキャリアデザインを「自己の夢」プロジェクトとして考えること、そしてその「夢プロジェクト」を実現させるためには、通過目標=プロジェクト3要素(期間・資源・目標範囲)を着実にクリアしていくことだと考えています。
そのプロセスにおいて、時間がなくて最終的な成果物が当初設定していたものより縮小しても、それは失敗ではないんです。たとえば、「テストで80点をとる」という目標があった場合、結果的に65点だったとしてもそれは失敗ではないということなんです。どういうことかと言うと、キャリアデザインにおいては、理想通りに夢プロジェクトが実現しなかったとしても、確実に夢の実現には近づいているということが重要です。テストで80点をとることができなかったとしても、次は65点からのスタートになるので、ゼロからのスタートではないのです。
つまり、少しでも前進すれば、夢を実現させるための土台は着実にデッサンされているということです。いきなり夢プロジェクトを実現することは難しいので、そのプロジェクトにおける通過目標を、諦めることなくひとつずつクリアしていくことが重要です。
吉山:やるか、やらないかで迷ってしまう人もいますが、まず明確な目標を掲げ、それに向けて実施してみる。たとえ1回で目標に到達しなくとも、細かくブレイクダウンして、目標に対して一歩一歩のアプローチを積み重ねていくことが重要なんですね。
小島:そうです。成功している人は小さいことを積み上げていく人だと私は思っているんですね。そして、積み重ねた成功、失敗をきちんと評価して、PDCAサイクルを回していくことがとても大事です。つまり、段取り良く目標が達成できた場合は「なぜできたのだろう?」とその理由を振り返り、思い通りに目標が達成できなかった場合は「なぜできないんだろう?」「どうやったらできるんだろう?」ということを振り返り、解決策を考えるというサイクルを回していくということが重要だと思います。

吉山:学生も社会人もそうですが、やるべきことやタスクが増えてくると、何かと頭の中で整理することができずに、スケジュール管理・タスク管理が疎かになり、結局パンクしてしまうといったことがよくあります。小島さんの場合は、多くの書籍を執筆しながら、数多くの講演・授業をこなし、さらには色んな方々のカウンセリングを実施したりと、タスクが山のように溢れているかとは思いますが、小島さんはどのようにスケジュールやタスクの進捗管理をなさっているのですか?
小島:今、私が持っている能力=キャパシティ(許容量)を広げるためにはどうしたらよいのか、ということを念頭に考えて行動しています。まさに今、与えられたことをどうやって処理して進めていくかという「段取り」ですね。
そこから派生するのですが、仕事の優先順位づけを徹底することです。仕事の性質には2種類あって、「私しかできないこと」と、「他の人でもできること」があります。例えば私は家事をしていません。家事をしないからといって家はぐちゃぐちゃかというと、そんなことはないです。(笑)それは家事代行を頼んでいるからです。女だから家事をしなくてはいけないということはありません。私しか出来ない部分はもちろん自分自身でやります。私の代わりの人ができることはやりません。
吉山:優先順位付けを徹底し、役割分担を明確にしておくということですね。では、中長期的なものにおける優先順位付けやタスク管理はどのように実施していらっしゃいますか?
小島:中長期的なものはミッションもかわるし、モチベーションも変わるし、環境も変わりますよね。だからそれに対して、いかに柔軟に対応できるかということが大事だと思っています。つまり、こだわりを「捨てる」というか、場合によっては、フレキシブルに対応していくことが大事だと私は考えているんです。こだわっていることで、失敗してしまうことがありませんか?そう考えると、段取りにおいてもあまりにもこだわりすぎずに。まさに「八分」程度であとは実際に進めながら対応していくほうがよいかと思います。
吉山:なるほど。柔軟性や分析力など、「なぜできなかったのか」ということを深く考えたり、創意工夫して課題に対応していくということについて、最近の若者は弱いといわれていますが、どういう意識でいることで、そういったスキルを身につけていくことができると思いますか?
小島:物事はゴールありきではないと思います。ゴールは変化するものだという風に考えるほうがいいのではないかと思っています。スリランカ(昔のセイロン)にこういう話があります。セイロンの3人の王子という話があって、セイロンの王様が自分の3人の息子にインドへ行って来いというわけです。でも到着しないんです。なぜなら旅の途中で様々な出会いや気づきがあったからなんです。この話のように、目標というのは、環境や出会い、新たな気づき、発見などによって変わっていくのです。もしかしたらその方が幸せになれるかもしれません。つまりゴールに一直線にむかっていくことがすべてではないと思います。段取り力があるから目標を達成できるということではなくて、段取り力を身につけるということは、様々な変化に柔軟に対応できるということなのではないかと私は考えています。
吉山:確かに中長期的なものであればあるほど、当初の目的・目標というのは周囲の環境やプロジェクトの置かれた状況にフレキシブルに対応していかねばなりませんし、プロジェクトのコントロールにおいて、最も重要なことですね。プロジェクトマネジャーがメンタルモデルといわれる、過去の固定観念などに縛られてしまうと、窮屈なプロジェクトになりますし、積極的にイノベートされることはないでしょうしね。別視点からですと、リスクヘッジなどを含めて予防策・対応策を事前に考えておくことで、柔軟に目標の到達に向けて取り組めるというのはありますね。
|